一般的な言葉になりつつある「シンギュラリティ」

土曜日の昨日、教育テレビをつけっぱなしにしていたら、「テストの花道 ニューベンゼミ」という番組で

2045年にシンギュラリティが来るから単なる暗記の勉強よりも人工知能の不得意な分野を伸ばそう」みたいなことをさらっと言っていました。ちょっとびっくりしました。

「シンギュラリティ」は今やNHKの教育テレビで触れられる言葉なんですね。一部のマニアックな人だけが信じている言葉だと思っていました・・。もはや常識として認知されつつあるのか、それともこの、もう中国からは相手にされないほど経済が停滞しているのに多くの日本人が気付いていない日本社会に警鐘を鳴らすために、NHKが意図的に取り上げたものなのか?

とまあいろいろ思い、改めてシンギュラリティを勉強しなければ、と思いました。

シンギュラリティと言えばカーツワイル。早速楽天の電子書籍でレイ・カーツワイルの

シンギュラリティは近い [エッセンス版] 人類が生命を超越するとき」を購入して読んでみました。

 

レイ・カーツワイルとは?誰?

レイ・カーツワイルは端的にいえば「人工知能の世界的権威」。Google社で機械学習と自然言語処理の技術責任者を務めています。Google、恐るべし・・。

シンセサイザーや文章読み上げマシンなどを発明した発明家です。1990年の著書ではチェスの試合で人間にコンピューターが勝つことを予言しました。2005年の「The Singularity Is Near 」で「シンギュラリティ」という概念を世界に広めました。

シンギュラリティはどのように日本で広まりつつあるのか?そして世界は?

この本の編集部のあとがき的なものによると、2007年「The Singularity Is Near 」の邦訳版の「ポスト・ヒューマン誕生」が刊行されたときは、日本語で「シンギュラリティ」をネットで検索してもほとんどヒットしなかったそうです

しかし刊行から7年経った2014年に変化が始まり、忘れ去られていた同書が売れ始め、さらには増刷を重ねるようになったそうです。本物は理解されるのに時間がかかるけれども必ず伸びてくる、ということでしょうか・・。しかし7年か・・。長いな。その間日本人はほとんど興味を持っていなかったのですね。それがいまやNHK教育テレビで取り上げられる言葉になっているのです。

日本人がほとんど関心を持っていなかった間に、アメリカではどんどん先を行っていました。2008年にカーツワイルが「シンキュラリティ・ユニバーシティ」というシンクタンク兼教育機関を共同で設立すると、Googleをはじめとするシリコンバレーの企業はこぞって出資したそうです。そして2012年にはGoogleがカーツワイルを一本釣りして、彼はGoogleで機械学習と自然言語処理の開発を行うことになったのです。

人工知能の世界的権威カーツワイルと世界一の情報テクノロジー企業Googleが組んで人工知能の開発に取り組んでいるのですから、最強な気がしますね。

シンギュラリティとは?

本題のシンギュラリティとは何か、ということに触れましょう。短く言うと、「2045年に人工知能が人類の知性を超える」ということ。ここでいう人工知能とはチェスや将棋という特技に特化した弱い人工知能ではなく、もっと広い、人類の知性全体を含んだ強い人工知能のことを指します。

ナノボット」という非常に小さい、人間の血球ほどの大きさか(7から8ミクロン)、それより小さいロボットが開発されるとカーツワイルは言っています。数十億個のナノボットが脳のあらゆる毛細血管をかけめぐり、有意義な脳内のニューロンの特徴一つ一つをごく近くからスキャンすることができるようになり、さらに高速の無線通信を利用してナノボットは互いに通信し、コンピュータともつながるようになるだろう、と言っています。

このことにより、脳をスキャンしてアップロードすることもできるようになるというのです。パソコンやスマホで作成したデータをサーバにアップロードするように、その人の人格、記憶、技能、歴史の全てをサーバに取り込むことができるようになるそうです。にわかには信じがたいですが・・。それにこれは相当に議論を呼びそうな技術ですね。

カーツワイルによると、この人間の脳の「アップロード」の最も重要な点は、われわれの知能や個性や技能を、非生物的な知能へと徐々に移し替えることにある、とのこと。確かにこれができれば技術の継承はできますよね。

さらに話は脳内だけにとどまらず、

G(遺伝学)とN(ナノテクノロジー)とR(ロボット工学)の革命が絡み合って進むことにより、現在の虚弱な人体ははるかに丈夫で有能なものへと変化する」とカーツワイルは言っています。

何十億ものナノボットが血流に乗って体内や脳内をかけめぐるようになる。体内で、それは病原体を破壊し、DNAエラーを修復し、毒素を排除し、他にも健康増進につながる多くの仕事をやってのける。その結果、われわれは老化することなく永遠に生きられるようになるはずだ。」

うーん、私としては、永遠の命はそんなに欲しくないけど、年をとって認知症になったら周囲に迷惑をかけることになるので、脳の老化を止める技術は誰か開発してほしいな。

食事や排泄についても変わってくる、と言っています。小さな残飯圧縮機のような、排泄を専門とするナノボットを使えば、「排泄という昔ながらの機能を人体からなくすこともありうる」、とのことです。排泄は介護の現場で負担がかかるところですから、本当にそうなってくれればいいのですが、簡単ではない気がしますね。

経済はどうなる?

一応、このブログは株ブログなので、経済についても触れておきましょう。カーツワイルによれば、「情報産業が経済のあらゆる部門で影響力をますます増大させているために、IT産業の尋常ではないデフレの影響も拡大していっている。」と言っています。

ITの発達でこれまで必要だった仲介業者が不要になり、モノの値段は下がっていきます。ITの発達とデフレは切っても切り離せない関係にあると言えるでしょう。楽天とか、Amazonとかで買うと安いですもんね。今後ますますデフレは進行する、と見ているようです。

しかし、「経済は全体的に見て成長している」とも言っています。「富や価値の全く新しい形やレベルが出現してきた」とも。ナノ粒子ベースの材料や、遺伝情報、知的財産、コミュニケーションポータル、ウェブサイト、帯域幅、ソフトウェア、データベースなどをはじめとする、新テクノロジーがそれにあたると述べています。

また、カーツワイルは「不動産業は大きな影響を被る」と言っています。VR環境が整えば、オフィスに人を集める必要がなくなるから、だそう。今でもノマドワーカーとか、パソコン一つあれば場所に縛られない働き方をする人は増えていますもんね。

既存のビジネスに囚われずに新しい分野のビジネスに軸足を動かしていった方が良さそうです。私も不動産株はほんのわずかに持っており、今のその会社の業績はかなりいいですが、今後ずっと長い目で見るとどうかな、ということですね。

この本を読んで

今後、ますます重要になるのはデータなのだということを再認識しました。脳内のデータにしろ、インターネット上のデータにしろ、ですが、脳内のデータを充実させるのには限界がありますから、ネット上のデータやその利用に注目するべきですね。

この本の内容は幅広く、深いためとてもこの記事で紹介しつくせるものではありません。今回は触れていませんが、話は宇宙まで及んでいます。今後、読み直した際に時間があったらまたこの本の内容について記事にしたいと思います。

このブログも一応データではあるので、あまりサボらず更新していこうと思います。世界中の一般市民のブログも、蓄積すればそのうち価値あるものになるかもしれません。