新株予約権と無担保社債を同時発行したメタップスの手法

私はメタップスの株主なのですが、1月、2月の資金調達のIRについてはその中身がよくのみこめていませんでした。メタップスは経営顧問に竹中平蔵氏がついているのでかなり考えられた末の戦略だとは思ったのですが。(竹中平蔵氏は小泉純一郎内閣の経済財政政策担当大臣に就任。その後、金融担当大臣、経済財政政策・郵政民営化担当大臣、総務大臣などを務め、「構造改革」を主導した方です。)

この資金調達のIRについて「誰か解説してくれ~!」と思いながらはや数か月。ついに優しく解説してくれるサイトが現れましたよ!

その名も「ICC Partners, Inc.」の方々。

「ICCパートナーズ(ICC Partners Inc.)は産業を共に創る経営者・経営幹部のためのコミュニティ型カンファレンス「Industry Co-Creation(ICC) カンファレンス」の企画・運営および新規事業創出・アライアンスなどのアドバイザー業務を行っています。

ICCカンファレンスでは業界トレンドやマネジメントに関する質の高い意見交換をする場を提供しています。また、ICCカンファレンスで議論された内容を記事として配信するメディア運営も行っております。」

だそうです。金融知識のない私には貴重な情報をありがとうございます!気になる方は元記事を検索してください。

ではその内容を見てみましょう。

専門家がメタップスの資金調達をマニアックに議論!

ICCパートナーズさんによると、「メガ・ベンチャーのためのファイナンス戦略と資本市場の活用法を徹底議論」【F17-2A】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!10回シリーズ(その7)は、メタップスが実施した新株予約権と私募債をセットにした調達スキームについて、マニアックに議論しました。元グリーCFOの青柳さんにもコメント頂きました。是非御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。」とのことです。

メタップスについては2017年2月21〜23日開催された「ICCカンファレンス FUKUOKA 2017 Session 2A メガ・ベンチャーのためのファイナンス戦略と資本市場の活用法を徹底議論」で話されました。

スピーカーとして
齋藤 剛  SMBC日興証券株式会社  株式調査部シニアアナリスト

長澤 啓  株式会社メルカリ  執行役員CFO

永田 暁彦  株式会社ユーグレナ  取締役 財務・経営戦略担当

米島 慶一  クレディ・スイス証券株式会社 株式調査部 マネージング ディレクター

モデレーターとして
嶺井 政人  株式会社マイネット 取締役 副社長

という方々が参加したようですよ!

議論の内容から私が気になったところを抜粋しました。

「嶺井 資本市場の活用が上手いという事例で、最近3人くらいの方からメッセージを頂いたり、打ち合わせしていた時に話題に上ったのが、メタップスのファイナンスですね。

こちらは、色々な方から面白いね、上手いねという話を聞きました。

ご存じの方も多いかもしれないのですが、一応おさらいをさせて頂くと、2017年1月に公表されて2017年2月に完了したメタップスの資金調達なのですが、新株予約権による調達と社債の発行をセットでされている案件です。

これだけ聞くと、ありがちで、普通だ、なんて思われるかと思うのですが、これをセットで行うことで、それぞれが単体でやっていた時には実現できなかったことを実現されています。

例えば新株予約権を使ったファイナンスでは、どうしても段階的に新株予約権を行使しながら調達していくので、短期間にまとまった金額をすぐ調達できないんですね。

通常3か月なり半年かけて調達します。

だから今、目の前で実行したいM&Aにはなかなか使い辛いということがありします。

逆に、社債だけでいったときには、例えば今回のメタップスもそうなのですが、使途がM&A資金で且つベンチャーなど発行体のクレジット(借入条件の基となる企業の信用力)が高くないときには、低利で調達するというのは難しいんですね。

それぞれだとそういった特徴があるのですが、ハイブリッドにして、新株予約権による調達と社債による調達をセットにして、まず新株予約権は50億円、社債の方は約25億円とし、社債を先に発行することで、25億円を最初に調達して、新株予約権の50億円を段階的に行使しながらその25億円を返済していくというスキームが取られています。

そうすることで、イニシャル(初期)で必要な資金をきちんと調達することができるスキームです。

且つ、社債と新株予約権をセットでされていることで、メタップスの信用力では通常調達できないような金利で調達を実現されています。

今回、無担保のM&A資金、期間3年で、金利が1.7パーセントなんですね。

メタップスは、前期は投資されていたりして赤字で、発表済みのこの第一四半期も、日本基準だと赤字の会社さんなんですよね。

外から見て個人的に思っているという話なのですが、赤字の会社さんがM&A資金で長期借入で1.7パーセントで調達できるというのは、なかなか考えにくい話で、セットにして、しかも両方をクレディ・スイスに引き受けて貰っているから実現できているんだろうなと思っています。

すごく資本市場を上手く活用された事例だな、なんて思うんですが、このディールに関して是非コメントを頂きたいなと思います。

(クレディ・スイスの米島さんもおられる中で)ちょっと登壇者の皆さんに振りづらいので、最初にこの話を振って下さった、会場におられる青柳さんに振っても大丈夫ですか?

青柳 氏

マクロの資金調達環境というものを非常によく理解されて、その時々でできる良い手法を取られているなという風には思いました。

(中略)

こういうことは未上場ではなかなかできないのですけれども、上場企業だからその後のオプション(選択肢)も含めて非常に低利でできているのかなと思います。

さらに、その商品をよりスモールキャップ(時価総額が小さい上場企業)の会社でもできるという形で、しかもきちんと証券会社の方々と商品開発をするところまでやったというのが、前々職(ドイツ証券)の後輩でもある(メタップスの)山崎CFOだからこそできたのだなと思っています。

また、資金調達環境を読んで、その瞬間でスパッとその時代を切り取ったような調達をするというのが、私が見ていても、先ほどの楽天さんにしても、ある時のクックパッドさんにしても、このタイミングでそうだよねと、皆を唸らせる調達をしている。

もちろんメタップスさんの事業計画もある種「射程距離」の長さはどうしても議論になり易いところだと思います。一方、それに対して絶妙な球をちゃんと投げ込んだという意味で、ファイナンスには常に賛否両論もちろんあって然るべきですが、私は上手いエクイティファイナンスだと思っています。

そういう意味ではこれはすごく適切で評価を上げたなという風に思ってメッセさせて頂きました。

嶺井 ありがとうございます。

(中略)

私はこれを見て正直、「あ、流石だな。やられたな」と思ったんですよね。クリエイティブで素晴らしいファイナンスだと思います。

今回のディールを見て、あ、こういう手法があったかと。

皆さんも、メタップスの開示をパッと見てこういうのはあるよねと気軽に思われるかもしれないですが、実際に目の前に案件が来て資金が必要な時、タイムリーにこういうディールをアレンジできるのは、やはりメタップス山崎(祐一郎)さんはCFOとして素晴らしいなと思って、私自身もこれをやれたらよかったなと思わされたディールでした。

資本市場の活用方法として素晴らしいなと思いました。」

とのこと。

おお!かなりいい評価のようです!

メタップスはこれから事業を大きくしていかなければならないので資金はどうしても必要ですよね。ニチガス、みずほと一緒の事業もありますし。

しかるべきときにしかるべき資金調達をしたと考えて良さそうです。

メタップスは将来有望とはいえ、マザーズの、時価総額400億円ぐらいの会社。低金利でお金を入手するために知恵をしぼった、ということでしょうか。

入手した資金を有効に活用して、ぜひ、佐藤社長が以前言っていた、「産業構造を変えられる唯一の企業になる」という夢を実現してほしいです。